バク転
正式名称は後方倒立回転飛び。
安全に練習を行うためには、
1.補助ありで倒立(逆立ち)ができること。
2.寝た状態からブリッジができること。
3.補助ができる人がいること。
が求められます。
バク転と同じ後ろ向きに跳ぶ技でバク宙(後方宙返り)があります。
2017年、ロボット開発企業のボストン・ダイナミクスがバク宙ができるロボットを開発しました。
バク宙ロボットAtlas
しかし、バク転ができるロボットはまだ開発されていません。
このことから、バク転をするためには、バク宙にはない身体の動きが求められると考えます。
以下の5つのポイントはバク転の際にしか使うことのない動きです。
日常生活や他のスポーツでもあまり見られない動作であるため、これに慣れる必要があります。
バク転に求められる身体の動き
①真上に飛ぶのではなく斜め方向に飛ぶ必要がある。そのために空気椅子のような後ろ重心の姿勢から膝、つま先を伸ばさなくてはならない。
②空中でブリッジの姿勢になるため、柔軟性が必要。
③両手で身体を支える時間があるため、それに耐えられる筋力と手首、胸郭、肩帯などの柔軟性が必要。
④手をついた時に足の勢いが弱いと、自重を手だけでは支えられないため、ジャンプ力が必要。
⑤足の裏で着地するために、身体の反りを利用することが必要。
バク転の方法
動作は細かく分けられますが、跳ぶ前3つ、跳んだあと2つで大まかに区切ります。
①
両手を上げ、バランスをとるためにまっすぐ前を見る。
足の開きは肩幅が目安。
自分が飛びやすい足幅でよいが、閉じるとジャンプ力が集中しやすく、足先まで綺麗に見えやすい。
この時つま先立ちだと②でかかとが浮きやすいため注意。
②
目線はまっすぐを見ることでバランスを取りやすくする。
空気椅子の姿勢を取りながら、両腕を振り下ろす。
腕は身体の後ろまで振り子のように振る。
この時の腕がなるべく身体の近くを通るようにする。
同時に膝を曲げる。
膝を曲げすぎるとかかとが浮いてしまい、ジャンプが弱くなってしまうので注意する。
手脚の動きを合わせるのがポイント。
③
手を振り上げるのと同時に膝を伸ばして飛ぶ。
この時の目線は手と手の間を追い、身体を反りやすくする。
④
手と手の間を見たまま両手を同時につく。この時に倒立のように両手で自重を支えられるようにする。
膝を曲げてしまうと両手への負担が大きくなるため、膝の曲がりに注意する。
⑤
両足を同時に地面につく。
足の裏で着地することで足首への負担を減らす。
5つの練習
❶立った状態からブリッジ(補助あり)
目的
・バク転をするための柔軟性(肩、胸郭、脊柱起立筋など)を高める。
・バク転の際の目線を体験させ、恐怖心を少なくしていく。
・手と手の間を見ることを意識させ、手を着いて頭を守ることができるようにする。
・手を着いて自分の体重を支えることに慣れていく。
・補助があるため両手への衝撃が少ない状態で体勢に慣れることができる。
・常に両手か両足が地面に着いた状態で行うため、恐怖心がより少ない状態で練習できる。
方法
⑴両手を真上に上げ、まっすぐに立つ。
天井に向かって逆立ちをしているイメージで、目線は手と手の間を見る。手は肩幅に開き、手首を曲げ、手のひらが天井と並行になるようにする。
⑵背中と腰に補助がつく。⑴の状態からゆっくりと身体をそらし、ブリッジで手をつきにいく。マットに手がつくまで、目線は手と手の間を見たままの状態をキープする。この時に足の裏がマットから浮かないように注意する。ブリッジの姿勢で一旦停止する。
⑶ブリッジで止まった状態からお腹側に起き上がる。補助に身体を任せるため、脚の力は抜くようにする。補助されている間も手と手の間を見続ける。両足を早くつこうとせず、なるべくブリッジの姿勢で脚を遠くに通すことがポイント。足をつく時は、脚をブリッジの状態からくの字型に返すことで、足の裏で着地する。両脚を揃えて両脚同時に着地することがポイント。
❷エアロール
目的
・安全性が高い中で身体の感覚をつかむ。
・バク転の最中の姿勢を体感できるため、バク転の際に伸びる筋肉をストレッチすることができる。
・バク転の最中の手と手の間を見る練習ができる。
方法
エアロールを抑えてもらった状態で、その上に仰向けに身体をのせる。
身体を反らせて手と手の間を見る。
❸真上ジャンプ
目的
・手と脚のタイミングを合わせたジャンプをするための練習。
・日常生活でこのようなジャンプをすることはないため練習が必要。
・バク転の練習は空中の姿勢に気を取られたり、恐怖心があったりするので、このジャンプは意識していなくてもできるようになるまで練習する。
・ジャンプへの恐怖心を減らすために行うことが大切。
方法
⑴、⑵、⑶の手順で真上に飛ぶ。
⑴両腕を上に上げて真っ直ぐに立つ。
目線は目の高さでまっすぐ前を見る。
⑵両腕を振り下ろすのと同時に膝を曲げる。膝はかかとが浮かない程度に曲げる。この時かかとが浮いてしまうとジャンプが弱くなってしまうので注意する。両腕はなるべく身体の近くを通るように振り下ろし、真下までではなく身体の背中側まで振り子のように振る。
目線は目の高さをまっすぐ見る。
腕の振り下ろし、膝の曲げを同時に行い同時に終了させることがポイント。
⑶⑵で振り下ろした腕の勢い、膝の曲げを使い、腕を振り上げながら膝とつま先を伸ばす。両方のタイミングを合わせて真上に飛ぶ。この練習ではまだ身体を反らさずに真っ直ぐに飛ぶ。真上に飛んでなるべく同じ場所に着地する。目線はまっすぐ前を見る。着地が不安な場合は、跳んだあとに地面を見て安全に着地する。
❹尻もちをついて座る練習
目的
・後ろ重心になる感覚を身につける。
・バク転は、空気椅子のような後ろ重心の姿勢でジャンプするが、いきなり跳ぶことは危険で恐怖心が大きいため、細分化して飛ぶ前の姿勢に慣れる練習をする。
方法
上記の真上ジャンプ⑵の時の姿勢を少しずつ空気椅子のように後ろ重心にしていく。
後ろ重心にしていくと⑶のジャンプが真上に飛べなくなってしまうため、空気椅子の姿勢を一瞬取り、尻もちをついて座る練習をする。真上ジャンプの⑴の姿勢から、後ろに重心をかけ空気椅子の姿勢になる恐怖心を少なくするために行う。
❺壁空気椅子
目的
・後ろ重心から膝を伸ばすことへの恐怖心を少なくする。
・空気椅子の姿勢から膝を伸ばすことは恐怖心が大きいため、細分化して膝を伸ばす動作に慣れることが目的。
方法
壁に背中をついて空気椅子の姿勢を取る。背中をまっすぐ伸ばし、目線は正面の目の高さを見る。膝を90度程度に曲げる。その状態から膝を伸ばすと斜め方向に力が加わる。
バク転のジャンプでの力の加え方は斜め方向のためこれを繰り返し、空気椅子から膝を伸ばす恐怖心を少なくしていく。
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以上の5つの練習方法を先程の5つのポイントに当てはめます。
バク転に求められる身体の動き
①真上に飛ぶのではなく斜め方向に飛ぶ必要がある。そのために空気椅子のような後ろ重心の姿勢から膝、つま先を伸ばさなくてはならない。
→❸❹❺の練習
②空中でブリッジの姿勢になるため、柔軟性が必要。
→❶❷の練習
③両手で身体を支える時間があるため、それに耐えられる筋力と手首、胸郭、肩帯などの柔軟性が必要。
→❶❷の練習
④手をついた時に足の勢いが弱いと、自重を手だけでは支えられないため、ジャンプ力が必要。
→❸❹❺の練習
⑤足の裏で着地するために、身体の反りを利用することが必要。
→❶❷の練習
❶立った状態からブリッジ(補助あり)❷エアロールは、主に柔軟性を高めたり、空中での目線に慣れる練習です。
❸真上ジャンプ、❹尻もちをついて座る練習、❺壁空気椅子は、主にジャンプの仕方、重心、方向感覚を身につける練習です。
5つを全て行い、バク転への恐怖心が少なくなることを目指します。
慣れてきたら補助付きでのバク転へと練習を移行し、回数を重ねることで身体の感覚を養っていきます。
世田谷のバク転&アクロバット教室【Jump UP】
Jump UP バク転教室 & アクロバット教室は、東京の世田谷区尾山台にある人気でおすすめの体操クラス。クラスは、子ども(小学生)と大人で別れており、講師がバク転(bakuten)の基礎から丁寧に指導します。倒立などの体操の基礎運動を取り入れつつ、バク転の習得を目指し練習します。